マークスの山 読書感想記・1



~平成元年 夏~               
その入り口の門の前に、白い乗用車が1台止まっていた。男が1人、ボンネットに尻をひっかけていた。白い開襟シャツのその男は、薄明るい空を仰いでタバコを吸い、指先で燃え尽きた灰を弾き飛ばすと、その指で、スラックスの膝に散った灰をはたいて、また残りのタバコを吸い始めた。こちらに顔を向けると、ちらりと炎天の日差しを貫く眼光が光った。「おい」 と言う。
記念すべき、合田雄一郎初登場場面です 《日差しを貫く眼光が光った》 って!!きゃーっっ いやぁ~、さすがカッコイイ登場の仕方ですねぇ。 ここの場面は山梨県警の佐野警部補が語る、合田雄一郎像です。この後しばらく、佐野警部補から見た合田さん像が続きます。

歳のころは30前後か。未だ青年の面影が残る細面の造作にはこれといって特徴もないが、圧倒的な男盛りの艶と気迫を感じさせる顔だった。その顔とともに、短く刈った髪も開襟シャツもスラックスも、その下の白いズックも、清潔で冷たい石を思わせた。その一方で、タバコをいじる無造作な指や、ぶらぶら揺すっている足が、硬質な風貌とは対照的な仄暗い不穏なリズムを作っているのが、何とも言いがたい第一印象だった。
若いッス、合田さん。まだ30歳の頃ですね。ふぅ~ん、30で未だ青年の面影が残ってるのね~。細面なのね~。そして、その一方でタバコをいじる指や、ぶらぶら揺すっている足が、不穏なリズムを作っているのね~。 繊細なんだか、図太いんだか、はかり知れない第一印象って感じだったのかな?佐野警部補。

「おい」 ともう1度くり返して、男がボンネットから立ち上がった。上背はある方だが、そうして立つと特に目立つような体格でもない、むしろひっそりとした日陰の印象になった。 「あとにしてくれて言うたやろ」 男は突然、関西言葉を洩らした。物静かで暗く、底堅い響きだった。佐野は無意識に緊張した。なぜか、細く切り立った岩稜のように人を畏怖させるものがある。同行の巨漢の刑事がひたすらでかい仙丈ヶ岳の山塊なら、こちらは北穂・槍ヶ岳間の大キレット、あるいは北鎌尾根の垂壁だ。
もう、ここでとやかく説明するまでも有りません。とにかくひたすらカッコイイですっ。 しばらく佐野警部補による合田雄一郎語りをご堪能ください

男は無造作に、スラックスのポケットから佐野のものと同じ黒い手帳を取り出し、開いて見せた。警視庁の紋章がついていた。肩書は警部補らしい。この若さで警部補なら相当優秀なのだろうが、腹の据わり方は並ではなかった。
確かに30前に警部補になってしまうって、すっげぇ優秀だよねっ、合田雄一郎。ノンキャリアにしては超エリートなんじゃないの? 優秀にして並はずれて腹の据わった男!! きゃーっ 

ちらりと手首のスナップをきかせたかと思うと、その指先から吸殻が10メートル飛んで、廃品の山に消えた。
・・・・・もう何も言う事ありません。これでノックアウトされない女がいたら見てみたいもんです。(・・・ここに居ますが。あたしはお蘭ちゃんファン・・・)。 いや、女だけじゃなく男も惚れるやろうなぁ。佐野警部補も合田さんに惚れたに違いない。(ちなみに爆笑問題の太田も合田さんの事、絶賛してた)

電話の向こうでは、ちょっと沈黙があった。それから 《自供は自供ですから》 と合田某は言った。 《しかし、岩田の話ははっきり言って信用なりません。今日、こちらで例の豆腐屋の強盗を捕まえたら、その強盗は、店で岩田にまけてやったのは豆腐じゃなくてがんもどきだと言いました》 豆腐とがんもどき。合田というのは、相当の切れ者らしいがどこか破れている。
《合田というのは、相当の切れ者らしいがどこか破れている》 うぅ~ん、この切れ者だけど完璧じゃない、どこか危うさのある感じってトコが、良いんだよねぇ。 佐野、絶対「惚れてまうやろーーー!!」(古い?)とか叫んでるよ。 以上ここまでが佐野警部補が語る、合田雄一郎でした。佐野刑事、合田さんの事かなり鋭く観察してますね。佐野ちゃん、お疲れ様でした~。

~平成2年 1月~
男は空き缶1つ残して、外へ出ていった。交番から筋向いの38号棟の何階かに、男は住んでいた。だが巡査部長は、週に1度か2度、自分の勤務の夜に交番に立ち寄っていく男の、名前も生業も知らなかった。どうせ独り者だろうが、お巡りをいっときの話し相手にするほどヒマな人種にも見えず、ときどき覗かせる目つきの鋭さと控えめな笑顔の愛嬌と、疲れた表情のどれもがちぐはぐで、結局何者なのか想像できないままだった。
これは、合田さんの住む団地の近くの交番のしがない巡査部長の合田語り。 いやぁ~、ここまで読み返して改めて合田雄一郎という人物のかっこよさを再認識しました。特に 『マークスの山』 の頃の合田さんのかっこよさったら・・・。この頃の合田さん本当に 『若く、雄々しく、ガラが悪く(?)、優秀で、且つ、繊細』 うまく言えませんが、とにかくカッコイイです。あたしはやっぱり 『マークス』 時代の合田さんが1番好き

年に数回、忘れたころに手紙をよこす男がいる。高校・大学時代の友人。義兄。地方検察庁検事。いろいろ肩書はあるが、14年も付き合っていると、相手が手紙をよこす理由など、もはやどうでもよくなってくる。ただし、その男の手紙は、普段は筆不精で賀状1枚書かない怠け者に、曲がりなりにも数行の返事をしたためさせる特別な力を持っていた。
義兄弟ファンの皆様!! お待たせ致しました!!! 加納祐介の登場ですっ。 と言っても、本人が直接登場した訳ではありませんが。ここら辺は合田さんが語る祐介、程度に留まっております。

男は加納祐介といった。ほぼ2年毎に地方転勤を繰り返す検事稼業のせいで、今は京都にいる。 (~途中、略~)  新年早々、何ということを書いてよこす奴だと思いつつ、合田は加納の若々しい美貌を思い浮かべた。1人1人が独立した国家機関である検察官の建前が、加納という男の中では実名ともに生き続けている。その結果の若白髪だが、あと10数年我慢すれば、それも美しいロマンスグレーになるだろう。
へぇ~、この頃(平成2年)って加納さん、京都に居たんだ~。知らんかった。読み落としてたかな? 検事って2年ごとに転勤で地方を転々とするのね。検事って仕事も楽じゃないんだな。人間関係とかも派閥とか、しがらみとかが色々あってドロドロしてそうだし、きっと気苦労が絶えないんだろう。そりゃあ、若白髪にもなるわな~。加納さん、人も羨む美貌の持ち主なんだよな。頭良くって、家柄も良くって、エリートで、性格も良くって、完全無欠な男だよな。あたしはどれも持ってないよ・・・羨ましいな。 まぁでも加納さんも色々あるんだけど。

~平成4年 10月5日~
合田雄一郎が姿を現すのは、毎朝その時刻だった。赤羽から始発電車に乗り、午前6時15分には缶ジュース1缶と朝刊を手に、誰もいない大部屋へ足を踏み入れる。彼岸過ぎまで開襟シャツにノータイで通したが、先日やっと、樟脳くさい合のスーツをタンスからひっぱり出した。袖を通して何か足らないと思い出し、半年ぶりにネクタイも締めた。しかし、革靴は履かなかった。コンクリートの街で革底がたてる靴音は、偏頭痛のもとになる。冠婚葬祭の都合がない限り、年中、白い布地のズックだ。
33歳6ヵ月。いったん仕事に入ると、警察官職務執行法が服を着て歩いているような規律と忍耐の塊になる。長期研修で所轄署と本庁を行ったり来たりしながら捜査畑10年。捜査一課230名の中でもっとも口数と雑音が少なく、もっとも硬い目線を持った日陰の石の1つだった。
さぁ、ここから語しが一気に面白くなっていきますっ! ここからは、いよいよ七係の登場です!! 合田さんも本格的に動き出します。今まではプロローグみたいなもの。ここから『マークスの山』の、本編突入ですっ!(と、あたしは思っている)。 しかし、この頃はまさか合田雄一郎が、こんな人気キャラになるとは誰もが想像しなかったのではないでしょうか。高村先生だって、合田さんがこんなに支持されて、シリーズ化(?)されて、今後何十年にも渡って書き続けるとは思ってなかったかも。 実際、高村センセー、インタビューで合田雄一郎という人物が、こんな人気キャラになるとは予想していなかったと応えています。そして、こうも言ってます。 「刑事は7、8人の単位で動きますから、七係としては7、8分の1の存在でしかありえない。でも主人公は要るだろう。誰にしようという感じです。それに当時の私としては、彼に家庭があって、奥さんがいたり子供がいたりすると面倒くさいし書きづらい。だからそれらは意識的に省いてしまいました。そうすると、主人公の造型としては肉厚になるはずがありません。離婚はするわ、恋人はいないわ。しかも社会的な立場としての何分の1かの存在ですから。だから名前を考えるのも、ほんとうに適当でした。ちょうどそのとき、別の用事で電話帳を繰っていて、たまたま開いたところに 『合田』 という字があったから、これはなんて読むんだろうと思ってね」 。 しかし、ヒーローが生まれる瞬間とは、得てしてこんなもんなのかも。

殺人・傷害を扱う第二、第三強行犯捜査班には3から10まで8つの係があり、合田は第三の七係だ。別名、第七移動動物園。なぜか4日交替勤務の4日目に事件の入ることが多いために 《万年在庁七係》 の歌も出来ている。これで明日の休みは、パアだ。 「おい、合さん。聞こえてるのか?」 「ああ」 合田は、まだ栓を開けていない缶ジュースを軽く振って見せた。出動になったら、トイレに行けない。ジュースなど飲めない。低血圧で、朝は頭が視界ゼロなのは事実だが、同報を聞いたときから、それぐらいは考えていた。
そうか、いざ事件となって出動となるとトイレにも行けないのか。刑事ってホント大変な職業だよな。そういう過酷な環境で働く男ってかっこいい。やっぱり刑事って職業、萌えます そして、低血圧の合田さんにも萌え しかし、《万年在庁七係》 の歌って、どんな歌なのか聞いてみたい。

合田は若く、駿足だった。記者を振り切り、タクシーを拾おうと目を走らせながら玄関を走り出したら、地下鉄駅の方から歩いてくる男2人が目に入った。その2人に向かって「来い!」と手を振り、合田は内堀通りで停止のウィンカーを出したタクシーへ走った。男2人が追ってくる。
森義孝、初登場場面。やっと森くん登場。 地下鉄駅の方から歩いてくる男2人のうちの1人が森くんです。きゃっ  ちなみにもう1人は肥後のおっさん。

《事件ですか》 と2人は目で尋ねた。 《殺し》 と合田も目で応え、「急げ」 と2人をタクシーに押し込んだ。 大男3人、窮屈な姿勢で後部座席に詰め込まれながら、真ん中にはさまれた合田は膝の上で手帳を破って3行の走り書きをした。それを両脇の2人に見せた。
大男3人ってコトは、合田さんも森くんも背は高いっていう事がここで明かされてますね。(まぁ合田さんの場合は、もうすでに佐野ちゃんの証言から上背はある、というコトが判明してますけど)。 合田さんは長身、痩身らしいけど、森くんは長身だけど、体型は痩せているのか太っているのか中肉中背なのか、それともガッシリなのか、そこら辺がとっても知りたいあたしです。森くんって外見に関する記述少ないよね。ぺんぺん草がせいぜいの3枚目とか、そのくらいしか無い・・・(涙。

「知ってるか?」 と合田は若い森義孝に尋ねた。 森は 《知ってるわけない》 という顔で 「いいえ」 と言った。歳は30歳。頬に遅咲きのニキビが1つ。今年春に上野署から本庁へ戻ってきた。 任官5年で巡査部長の昇任試験に合格した優秀さは誰も否定しないが、固すぎて鋳型にはまらない出来損ないのコンクリートは、全く周囲に馴染まない。突出した自尊心を鼻の頭にのせ、腹に強烈な権力志向と憤懣を抱いて、ひとりで頑張っている男だ。七係に4人残っている巡査部長の中では、経験と年齢の若さで末席にいる。
周囲に全く馴染まない一匹狼のお蘭ちゃん。ひとりで頑張る森。(こういうのを偏屈とも言う)。こういうところが大好きだっーー! だけど、今年春に上野署から本庁へ戻ってきたってコトは、上野署勤務の前は本庁勤務だったてコトだよね。ってコトは、森くんも所轄と本庁を行ったり来たりしてるんかな? いずれにしろ、本庁勤務ってことは、合田さんも森くんも七係の面々も、優秀なんだろうなぁ。 しかし、この頃はあたしもまだ、お蘭なんか全然関心ありませんでした。

合「ところで、2人とも今朝は何だ、偶然会うたんか」  肥「駅で。朝っぱらから背中丸めて歩いてる奴がいるから、面見たら 《お蘭》 で・・・・・」
そうか森くん、いつも背中丸めて歩いてるんか。暗い奴・・・。だけど、そういう暗~いトコも好きやで  しかし、合田さんの大阪弁、やっぱりいつ聞いてもええなぁ~

「医者に抜いてもらおう。森!」 と合田は呼んだ。 「山田先生を電話で起こして、事情を話して9時には教室に入ってもらってくれ。至急に凶器の判定をしてもらいたいホトケが出たと言え」 「了解」 使い走りをさせやがってといった顔で、森は立ち去った。
お蘭ちゃん、あいかわらずです。一応、合田さんは上司なのに・・・そんな態度で良いんですかっ 合田さんはこういう態度の森くんをどう思っているんでしょう? きっと、ムカッとしてるんだろうな。それとも、別に何とも思ってないのかな。「まぁ、こういう奴だから」みたいな。 でも、合田さんと森くんのこういう微妙な関係、好きっす。

「森!」 森がやってくる。少し声を低くして、合田は素早く囁いた。「4課の宿直に電話を入れて、ガイシャの住所の割り出しを急がせろ。もし分からんようなら、吉原という警部の自宅に連絡させて、こっちへ電話を入れさせろ。吉原はマル暴一の古株だ。無線は使うな。肥後の携帯電話を借りろ。急げ。又三郎に先を越されるな」 森は陰気な目で合田の顔を窺った。住所が割れたら一足先に家捜しだということは、森には言われなくても分かっているはずだった。実力+度量+愛嬌で、そこらじゅうに顔の効く又三郎が、10分後には同じように被害者畠山宏の素性をどこからか嗅ぎつけるのは必至だ。手先を取られたら後々までたたる。「了解」 と無表情に応えて、再び森は走り去った。
森くんの陰気な目・・・・。陰気な目ってどんな目やねんっ。あいかわらずのっけから無表情です、お蘭。 合田さんと森くんの微妙な関係が窺えますねぇ。 しかし合田さん、森くんには何でこうも冷たい態度なんだろう・・・ホントは好きなくせに。 だけど合田さん、又三郎にはライバル意識剥き出しですねぇ。それ考えると森くんには態度は冷たいが、一応仲間として認めてくれてるのかな? ・・・いや、仲間と言うよりは手下って感じだな。ポチ扱い・・・・(悲。

蹌踉と歩いていく林係長の向こうに森の姿が見えた。係長に律儀な敬礼で応じてから、森は機敏でも怠慢でもない独特の足取りで合田の方へ走ってきた。森は表情のない口許で囁いた。「吉原警部はもう部屋に出てきています。主任を電話口に出せと言ってます」 森は、肥後の私物の携帯電話を差し出しながら、「有沢さんもマル暴をつついてます」 と素早く耳打ちした。
モヤシに律儀に敬礼する森。へぇ~、警察ってホントに目上の人に敬礼するんだ。そういう決まりが有るんかな? しかし森くんは上に対して、律儀なんだか横柄なんだかイマイチよく分かんないな~。会議なんかでは平気で上に楯突いてるよねぇ。機敏でも怠慢でもない独特の足取りっちゅうのも、どんなんだかイマイチよく分からん。

「お前ら、分担が決まっているだろうが。お蘭!お前は余りだ。主任と同行しろ」 それで決まりだった。森がいつも余るのは、規格外れのせいではなく、整髪料その他の揮発性の香料でジンマシンが出るらしい、微妙な理由のせいだった。公になると本人の進退に関わってくるので、なんとなく事情を察している吾妻が、臭いものには蓋をする式の采配で森を 《余り》 にし、あまり整髪料をつけない合田と組み合わせることになる。おかげで、いつでもどこでも合田のそばにいる森には 《お蘭》 のあだ名がついた。
森くんの身体的な理由から、いつも一緒に組まされることになった合田さん。合田さんは、このことをどう思ってるんでしょうか? 「とんだお荷物背負わされてめんどくせぇなぁ、チッ」 とか思ってるんかな? そして森くんは、合田さんに対して 「申し訳ない」 ぐらいの謙虚な気持ちをほんの少しくらい持ってるんでしょうかねぇ。 あの態度の悪さからすると思って無さそうだな。

合田の方は、何も気にしなかった。所轄署の経験の浅い者と組まされるより、実質的にははるかにやりやすかった。
ありゃ? すみません、書いてありました。合田さん、あまり気にしてなかったみたいです。 「めんどくせぇ」 とは思ってなかったようです。 合田さん意外と部下思いの優しい人なのかもしれません・・・いや、絶対そうだっ!特に、お蘭ちゃんの事は内心すごく可愛がっているに違いない。お蘭ちゃん、良かったねぇ。

そろそろ朝のラッシュが始まる時刻だった。タクシーで表参道まで飛ばし、地下鉄千代田線で北千住まで行き、またタクシーを拾い直して現場まで、最短時間を取ったが結局50分近くかかった。その間、どちらも口をきかなかった。
狭いタクシーの車内の中でひと言も口をきかない、合田さんと森くん。普通だったら相当気まずい空気が流れそうですが・・・。 あたしだったらきっと、気まずくて耐えられないに違いない。まぁ、このふたりのことだから、そんなん全然気にしないのかもな。 しかし、タクシーの運ちゃんは、そうとう気まずかったのでは?

「1480円です」 とタクシーの運転手が言った。合田が2千円出したが、タクシーを降りたら、即座に森の手が千円札1枚を突き出した。合田は釣り銭の520円とその千円札を交換した。森はいつも律儀に金を出す。そういうところだけは好きだった。
そういうところだけは好きだった。 ・・・・・そういうところだけは・・・お蘭ちゃん(T_T)

女は捜査員を前に6畳間の真ん中で、ネグリジェ1枚でどっかりあぐらをかいていた。歳は25だと自称しているが、戸籍では30だ。茶色に染めた髪をくしゃくしゃにしてさえいなければ、けっこう見栄えのいい顔をしていた。若い森が、眉根に3本皺を寄せてすけすけのネグリジェを一瞥し、侮蔑と好奇心の入り混じった複雑な顔をしかめている。
やっぱり無表情のサイボーグ気取ってても、男なのねぇ~。しかめっ面しているけど本当はちょっと 「ラッキー」 とか思ってるんでしょ。何とも無い振りしてるけど、合田さんにはしっかりバレてるっちゅうねんっ。

「何よ、このお巡り!」 とまた女が飛び上がった。 「姐さん」 と吉原。「ちょっと口のきき方に気をつけろ。あのお兄さんはおとなしいのは顔だけだ。なめたら怖いぞ。さあ、質問に答えろ。あのスカート、畠山に買ってもらったのか?」
合田さん、おとなしい感じの顔つきなのか? 少なくとも吉原はそう見てるんだな。具体的におとなしい顔ってどんな顔? そういえば佐野っちも3年前、合田さんの事、青年の面影が残る顔だの、細面だの言ってたな。一見、ヤサ男風な感じなのかなぁ~。 顔つきはヤサ男だけど、なめたら怖い。そのギャップがええわぁ こういうギャップに皆、ヤラれてしまうのかしらん これもある意味ツンデレってヤツ?

「森。女に、タンスの上から盗んだ25万が新札だったかどうか確認するのを忘れるな。新札なら碑文谷に連絡。もし女が覚えていないと言ったら、百貨店で確認しろ」 森の返事はなかったが、目で 《了解》 と応えた。
何度も言うようですが、この合田さんと森くんの目だけの会話っちゅうのに、みょ~に萌えてしまうんです、あたし。 『目は口ほどにものを言う』 って感じで、余計な言葉は要らないのね~、無口な男共ふたりには。うふっ                            
 
          


                                         ~ マークスの山・読書感想記 次ページへ続く ~



             


さて、突然ですがここでいったん、ぶった切ります。
「中途半端な所で止めるなよっ」って感じですが、これ以上長くなると読むのも疲れるでしょう?
あたしの脳味噌も、そろそろ限界です。
あまり長くなると、訳分かんなくなるんで今回はここまでです。

ご清聴ありがとうございました m(__)m    





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                        2013.1.1. UP



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