マークスの山 読書感想記・2



~10月5日 月曜日~
さっそく又三郎たちが「どうだった」と首を伸ばし、吾妻は「要点を話せ」とせっついてきた。「静かに」と雪之丞がゆったり水を差す。「お楽しみはあとだ。あと」と薩摩肥後。林がテーブルを叩いている。「森に任せろ」と合田は短く逃げた。その森は20数名分の整髪料の臭気でたちまち痒くなってきたらしい顔を歪めて、そっぽを向いていた。
お蘭ちゃん、整髪料の臭気でカイカイになっちゃうのね~。会議のたびにこの調子じゃ大変だなぁ。かわいちょうに(T_T)・・・・。 合田さん、何とかしてあげて下さい。

「そら行け、お蘭」と又三郎が手を叩く。「出し惜しみするな」と吾妻ポルフィーリィ。外野の声援にはいっさい応えない森は、被害者畠山の女のアパートの捜査を行った結果を述べ始めた。いかにも森らしく、捜索現場の状況、女の態度、部屋にあった一品一品の説明、押収品目と、細かい報告が続いた。
《外野の声援にはいっさい応えない森》。・・・少しは周りに合わせろよっ!  周りの連中は、この細かすぎる報告に、それはそれはイライラしてるんだろうな~。実際、職場にこんな奴がいたら絶対イライラしそうだ。合田さん、こんなお蘭をちゃんと教育してあげて下さい。

「おい、早く先へ進め」と又三郎が森の背をつついていた。「飢えたガキみてえに」と、いつの間にか目を覚ました肥後の声。「うるさい」と吾妻。
恒例、七係の掛け合い漫才。ナイスなボケとツッコミ。良いチームワークっす。やっぱり七係、良いわ~

森は、続けてホステス西野富美子の供述内容を報告した。森は底意地は悪いが、自分のネタを隠して一人占めするほど肝は小さくない。仕事に対する周到さは、一種の誠意すら感じさせる。
底意地は悪いが・・・・って(汗)。 コレは合田さんの森くんに対する評価だろうか? まぁ、最終的には褒めてくれてるのかなぁ? やっぱり、なんだかんだ言ってホントは森くんのコト好きなのね、合田さん。 ひねくれてはいるけど、これも合田さんの森くんに対する愛情表現だっ、きっと。 だけど、底意地は悪いって・・・ただの意地が悪いじゃ無く、底意地って強調されるとそうとう性格悪い奴みたいじゃん・・・・お蘭ちゃん(涙。

これで、森が頭1つ分リードだ。「お蘭が知恵つけやがって」と肥後がしつこく囁いていた。「あんたもつけろよ」と又三郎。「静かに」合田は机を軽くはたいた。
恒例、七係の掛け合い漫才。パートⅡ。しかし、森くんって必要以上に七係の仲間に絡まれるような気がするんですけど。

~10月7日 水曜日~
広田はそんなことを言った。合田は、普段いるのかいないのか分らない男が、ときどき自分に投げてよこす個人的な好意を感じることはあったが、だからといってどうということもない。合田の無関心が逆に、巨漢の皮膚の下に隠れた繊細な神経に心地好いのか、広田もまたさらりと受け流す。
さすが男殺しの合田雄一郎。ここにも、合田さんに惚れている男が1人。そういえば雪之丞の恋は儚くも散ってしまったんですね(涙)。いったい何人の男達が涙を飲んだのでしょう? お蘭ちゃんもきっと・・・・。 そして今は、遠く八丈島から加納さんと幸せになることを祈っているに違いない(・・・・・そうか?)

「なあ、主任。もし同じホシなら、王子と競争になる。今回はみんな、個人プレーはやめて一つにならんと負けるぞ。王子には目撃者がいるから、追いやすい。須崎は、もう半分捕まえた気でいやがるんだ」 普段なら競争意識を剥き出しにして、にこにこしながら自分のネタをちゃっかりしまい込む又三郎が、珍しいことを言い出した。
同じ係内でも、ライバルはライバル。警察組織というのはそういう所なんでしょう。自分が手柄を立てて成績を上げて出世して行く為には、たとえ仲間でも時には出し抜くことも必要ってコトか。ちゃっかり自分のネタをしまい込んでも又三郎だと許せてしまうと感じるのは、きっと又三郎のキャラ所以。しかし、今回は普段はバラバラであろう七係も一致団結するのか?

「七係もついに三八度線撤廃か。めでたい話だ」と広田。「俺は異議はない。いいことだ」と合田。「よし。明日一番にほかの奴らにも徹底させよう。打倒須崎だ」と、又三郎は言い、ひとりで機嫌を直してハハと笑った。又三郎の声はやはりこうでなくては。打倒すべきは犯人だが、合田も細かいことを言う気はなかった。
なんやかんや言っても七係って根っこの部分では仲が良いんだな~。やっぱり七係って良いなぁ。でも一筋縄ではいかない連中ばっかだから一枚岩になるのは大変そうだ。特にあいつ・・・・。

アオキの植え込みはこんもりした山になり、高さは1メートルほどだ。幅も1メートルを超える。合田は試しに、ふいとその場で右足を跳ね上げてみた。ジャンプしてしまってから後悔したが、遅かった。飛び越えたはずの右足が植え込みにつっこみ、左足もひっかかり、そのまま反対側に転げ落ちて、敷石に膝をしたたか打ちつけた。
かわえぇ~(涎)。 間抜けな雄一郎も魅力的

大した一日の締め括りだった。立ち番の警官が駆け寄ってくるのを片手で断って、合田はそそくさと自分のスラックスの泥をはたき、恨み半分ちょっと植え込みを睨んだ。
恥ずかしいんだよねぇ。こういう所を人に見られるのって。あたしはこういう場合、すぐ辺りを見回して誰も居なかったらホッとし、誰かに見られてたら、そそくさと居なくなります。 合田さん、しっかり見られちゃいましたね~(うヒヒ)。この後この警官、飲んでる席で合田さんの失敗談を酒の肴にしてたりして。「間抜けなんだぜぇ、あいつ。植え込み飛び越えようとして引っかかってひっくり返ってんだぜぇ。ぎゃははは!」なんてね。

署を出たとき、玄関前の路上に散っていく人影の中に、合田はふとスーツの後ろ姿を一つ見分けた。自分と似たような地平にいるのに、なぜかいつも、自分の日々の喧騒とはかけ離れた涼風の吹いている、一人の男の背だった。合田は「おい!」と呼んだ。相手はその声に振り向き、白い歯を覗かせて《また飲もう》と目で言ってよこし、そのまま同僚の検事らとともに立ち去っていった。
あぁ、やっとやっと加納さんの登場です。本人登場場面は確かここが初めて。記念すべき加納祐介初登場シーン! それにしても、さすが加納さん。爽やかすぎる登場の仕方です。《涼風を吹かせながら白い歯を覗かせて立ち去っていく》って。しかも秀才で美男子。こんな人、ホントに居るんだろうか??

合田はその場で少し自分の足を踏みしめた。半年前の春の異動で東京地検へ移ってきた加納祐介とは、春に一度会ったきりだ。今夜の事件で、やはり地検から強制的に駆り出されたのだろうが、意外な再会だった。加納とは身内ではあるが、長年の公私の経緯があって、人前で顔を合わせるのは少々まずい間柄だった。一瞬にしてもそのことを忘れて『おい』はないだろうと反省しながら、一方では自分の無頓着さがおかしく、久々の加納の超然とした笑みもおかしかった。
《超然とした笑み》って。やっぱ加納さんは霞食って生きてる仙人じゃないだろうか?あたしの中では加納さんってそういうイメージ。 ところで、公私の経緯というのはもちろん貴代子との結婚による、加納さんと合田さんの関係の事だろう。一時は義理の兄だったんだもんねぇ、加納さん。今は元義兄。あっ、でも貴代子が双子の姉の方だったら加納さんは義弟になるってコトか? そうなると加納さんと合田さんの関係も、かなりイメージが違ってくるなぁ。やっぱり義兄弟ファンの皆さんは、加納さんが兄で合田さんが弟の方がしっくりくるんだろうか?

ところで今『マークスの山』再読して気が付いたんだけど、加納祐介と貴代子って二卵性の双子だったんですね。あたしゃ今まで一卵性の双子だと思ってました。だとするとそんなに似てないのか? あっでも、性別違って一卵性っていうのは有り得ないのかな?? 
※)ネットで調べたら普通は一卵性だと同性らしいが、でも稀に異性も生まれるらしい。





                
              ~ マークスの山・読書感想記 次ページへ続く ~



             



『マークスの山・読書感想記』を書く為の『マークス』再読(3度目)で、今回の最大の収穫は加納兄妹が二卵性の双子だったと知ったコト。
てっきり一卵性だと思ってました。
あれだけびっしりと文字で埋め尽くされ、事細かく書かれた『マークス』ですから、1度や2度読んだくらいでは、読み落としている部分はまだまだ有りそうです。

高村作品は、何度も読み返さないと完全理解は出来ないという事か・・・・(溜息)。





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                        2013.3.12 UP



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