警視庁捜査一課第三強行犯捜査第七係 第三話 《失踪》



「俺は・・・上田哲司という者だ。大倉一夫を殺した。聞こえたか?大倉一夫を殺した。もうだめだ・・・・」
受話器の声が 《切らないで下さい!》 と怒鳴るのが聞こえたが、男はもう応えなかった。

《・・・俺はウエダテツジという者だ。オオクラカズオを殺した。聞こえたか?オオクラカズオを殺した。もうだめだ・・・・》 作戦指揮台の係官は、受理台から通された110番通報の声を聞きながら一瞬考え、とりあえず捜査一課、四課、鑑識の各課に同時通報で通した。 壁の大時計は午後10時12分を指していた。 《逆探知中》 と受理台の声が入る。

本庁六階の四課の大部屋に、吉原という古株が1人、外出先からずぶ濡れで戻ってきた。 何本かの電話をかけた後、最後の電話を1本かけた。 数回呼び出し音が続いて、電話はつながった。 《はい、合田です》 と怒ったような鋭い声が応えた。相手はお偉い一課のばりばりだが、本庁の武道場で竹刀を通じて知り合ったよしみで口をきくようになった。 若手にしては、吉原のようなマル暴の化石と渡り合う度胸も誠意もある。それにしても、1人暮らしの団地の部屋で、電話相手に何を怒鳴ってやがる。
この四課の吉原さん、マークスの山にも出てきましたね(だぶん同一人物だと思うのだが)。この人も、数多い合田シンパの中のお1人です。合田さんに惚れとります(たぶん)。 「おう、お帰りだったか。早いじゃねえか」 という吉原の言葉に 《この雨やし・・・》 と応えた合田さん。そんな合田さんに、かわいい~と萌えた合田ファンは多いハズ。 しかし合田さん、けっこう警察の中に、こういったお友達がチラホラいる様で、一匹狼なのかと思ってたあたしは意外に思ったんですが。 森には絶対こういう仲間、1人もいないんだろうなぁ。 『会議で必ず突っ込んでくるムカつく奴、いつかボコボコにしてやる』 とかって思われてんだろうなぁ・・・・

「板橋の上田哲司という鉄筋工が、今夜 《大倉一夫を殺した》 と110番してきた直後に電車に飛び込んだ。事実の確認は出来ていないが、もし大倉が俺の見当通りの人物なら、暴力団がいくつか絡んでくると思う。そこでだな、よく聞けよ、合さん。お宅の七係に 《又三郎》 って色男がいるだろう?口八丁手八丁の声のでかい奴」 《彼が何かしましたか》 「関東青竜会に秦野という幹部がいるんだが、そいつとかなり親しい仲だ。知ってるか?」 《いえ。それで》 「うちは別件で、近々に青竜会をタタくことになっている。 《又三郎》 の脱線は見逃してやるつもりだったが、もし殺しが絡んできたら、そうはいかなくなる。早めにそっちで、あの色男を何とかしておけ」
(※ちなみに  は、吉原と合田の電話での会話。もっと説明しとくと、は吉原、は合田。)
色男か、又三郎の代名詞だな。 ええな~・・・・森には、一生縁のないお言葉だ。 合田さんも、又三郎のような派手さはないものの、整ったイケメンだし・・・・ええなぁ。 お蘭は、ぺんぺん草だもんなぁ。高村先生のイジワル。 あっ、合田さんって吉原には 《合さん》 って呼ばれてたのね。マークスでも、そう呼ばれてたっけ? 一応、あだ名、有ったのね(これをあだ名と呼んでいいのか、分からんが)。 七係の中では、唯一あだ名が無い合田さん。なんでか密かに不思議でした。森くんのこと 《お蘭》 って、絶対呼ばないのも、どうして? 合田さんが 《お蘭》 って呼ぶとシャレにならんからか??

(合田は吉原との電話を終えた後、手帳を繰り、個人用の番号1つに電話をかけた)。 控えめな女の声が 《有沢でございます》 と応えた。 和やかな家庭の匂いが受話器の向こうに漂っていた。 「夜分失礼します。本庁の合田です。ご主人はお帰りでしょうか」。 奥さんと交替した声は 《やあこんばんは、と言いたいところだが、プライバシーの侵害だぞ》 と言った。
又三郎って結婚してたのっ!! 独身貴族で毎晩、女と遊び歩いてるのかと思ってた。あたしの又三郎に対して抱いてたイメージが、ちょっぴり崩れたよ~。 結婚していたという事実に、ちょっとガッカリ。奥さんは同郷のしごく地味で物静かな女性らしい。 でも、又三郎って、意外と根は真面目なのかもな~。

空いたグラスにウィスキーを注ぎ足したら、また電話が鳴った。ベルの音を聞くたびに、心臓がおののく。 事件発生の一報であり、出勤命令であり、問答無用で休み返上を告げる音だ。 「はい、合田」 《当直の佐々木です。練馬署からの出勤要請を課長が受理しました。明朝午前7時に練馬署へ出勤して下さい。事案は失踪。失踪人氏名大倉一夫。47歳。山之内建設勤務》 「ヤマは何だ」 《ヤマは・・・・失踪です》 「お前はアホか。ホトケはどこだ!」 《練馬署へ7時集合!それしか聞いてません》 若いのは、そう怒鳴り返して電話を切ってしまった。
刑事ってホント大変な商売なのね 時にはぐっすり寝込んでいる所を、容赦ない電話のベルに叩き起こされ、時には休みの日にも、問答無用に召集かけられ。 あたしにゃ出来んわ。切れてトットと辞めてるねっ。それ考えたら、合田さんはじめとする七係の連中、偉いよ、尊敬します。 しかし、電話かけてきた若い当直、合田さんの罵声に逆切れしたところみると、電話かけた七係の面々に合田さん同様、さんざん罵声を浴びせられたんやろな。 「なんで失踪ごときで、呼び出しかかんねんっ!!」 って。 当直も大変やな。まぁ、人生いろいろ大変や。理不尽な事だらけやで。あたしかて、いろいろあるんやで・・・・

遂に人捜しまでさせられるのか。呆れ半分、受話器を置いた。もう腹を立てる気さえ起らず、テーブルに足を上げて腰を据え、あらためてウィスキーをすすり始めた。 ちらりと水浸しの床を見、拭かずに放っておいたらどうなるだろうと考えた。キノコでも生えるんだろうか。
この日は大雨で、2日ぶりに自宅に帰ったら、ガタのきた台所の窓から雨が吹き込んで、床が池になっていた合田家。 いや、合田さん、キノコが生える前に、水が下の階に漏れて苦情が来るからっ! 日々の激務に疲れ果てているのは分かるよ。でも、ウィスキーなんか飲んでないで拭こうよっ!! 床が水浸しなのに拭こうとしないで 「キノコが生えるんだろうか」 と考える合田さんといい、自己啓発テープにハマる森といい、この朴念仁コンビ、仕事は優秀だが、私生活はまったくダメ男なのか?

翌朝、都内一円にちらばったそれぞれの自宅から、タクシーを飛ばし、電車を乗り継いで、雨の中、七係の8人は三々五々、練馬署へやって来た。一番乗りは、荻窪の愛人宅から来たらしい 《薩摩》 肥後のオッサン。続いて、多摩ニュータウンに住む林係長と広田 《雪之丞》。4番目に合田。5番目が目の下にくまを作ってウィスキーの臭いをぷんぷん漂わせた吾妻 《ペコ》。6番目が、寝起きの面をした若い松岡 《十姉妹》。 7番目が有沢 《又》 三郎。船橋在住の森義孝の 《お蘭》 がビリになった。
お蘭、ビリかよ。やっぱ、1人だけ都内在住じゃなく、千葉在住っちゅうのはハンデやな。なんで東京の警察官やってるのに、千葉に住んでるんか不思議なんすけど。普通、都内に住むんちゃうの。独身なんだし、アパート住まいなんだし、都内に引っ越すこと考えないんか? まじ、謎。ほんま、よう分からん奴。 ま、千葉在住が遅くなった理由じゃなくって 「なんで失踪ごときで、俺らが呼び出し食うんだよ。めんどくせぇなぁ」 なんて思ってボヤボヤ来たのがビリの理由かも。 仕事人間のサイボーグ森だって、たまにはそんな事、思うかもね。 だけど、合田さんの4番目も、なんか中途半端で地味やな。一応、主役なのにな。

捜査会議で 「質問!」 と今度は森義孝が声を上げた。 「3月14日の大倉の入院について、自損事故と会社に届けていたとの事ですが、大倉の自家用車は調べましたか」 「だから、自損事故というのは嘘で・・・」 「調べなかったのですか」 「大倉は自家用車の登録はしていない!」 「免許は」 「免許はある」 「では、会社に自損事故と届けたのなら、レンタカー会社は調べましたか」 「また始まった」 肥後が呟き、「おい、もういい」 と森の尻をつついた。
お蘭ちゃん、だからそういうことばっかやってると、ホントにそのうち、誰かにボコボコにされるわよ。もうちょっと上手く世渡りなさいっ!!

ふと見ると、いつもは吾妻以上にうるさい又三郎が、黙って天井を睨んだまま、にやにやしていた。 昨夜の電話を下敷きにして、この男は当然、胸の内では暴力団のことを考えているはずだった。 四課が情報を隠していることも、承知の上だ。その上で、合田と同じく黙っている真意は何か。手柄のひとり占め、独断専行、サポタージュ。気分次第でなんでもありの又三郎だ。
又三郎、かっこええなぁ。合森コンビが持ってないもの、たくさん持っとる感じやな。極道の人脈とか、日々の過酷な捜査の為には必要な、ある種の図太さとか。 極道の人脈なんか、森くんは持っているんだろうか? 持って無さそうだなぁ。(合田さんは持ってるけど。秦野組六代目組長、秦野耕三。このお方も合田さんに惚れてる、合田シンパのお1人ですね)。 森は、たぶん極道人脈、皆無です。そんな人脈作れるほど、器用な性格とは思えない。ストレス溜まると、すぐアトピー出る虚弱体質だし。又三郎と森ってホント、対照的、超真逆だよな~。

「あのな、主任。俺がヤアさんと飲めるのは、ネタの売り買いをしないからよ。覚えとけ。俺は、情報網を作る為にこの顔を売ってるわけじゃねぇ。どこかの組が大倉殺しに関わっているなら、俺はやることをやるだけだ」 又三郎は、そうは言うが親しくなれば人情で情報は流れる。仁義にのっとってネタを使わないというのなら一種の怠慢か裏切りであるし、潔くネタを捨てているにしては、又三郎は現実に優秀な成績を上げ過ぎている。 しかし、合田は詭弁だとあげつらうつもりはなかった。わずかの危惧を残しつつ、いつも通り、大筋ではこの男を認めた。 ある意味で単純明快な又三郎の浪花節を笑うほど、自分は偉くもない。
《口八丁手八丁、男気と愛嬌で誰にでも好かれ、暴力団であろうが左翼であろうが平気で口をきき、それなりの情報網を築いてきた実力はある。その立ち振る舞いがあちこちの羨望や中傷を買っても、さっさと笑い飛ばす度胸もある。しかし、それはかなりの部分、負けず嫌いの虚勢や、投げやりな反抗や屈折の複雑な所産であって、なかなか一筋縄ではいかない男盛り》 というのが、合田さんの又三郎評のようです。 合田さん、又三郎の築いてきた極道との人脈や、それに伴った情報網に違和感を感じつつ、時には嫉妬しつつも、又三郎の事、認めてはいるのね。合田さんも、又三郎の様な、ある意味での要領の良さや、図太さは持っていないから、それが悔しくもあり、羨ましくもあるのかもしれません。 まぁ、又三郎がある意味、要領が良いと言いましたが、警察という組織の中で出世していくという点では、要領が良いと思えませんが。 又三郎自身も、それは承知の上での行動でしょうけどね。

捜査会議の後、先に部屋を出て行った又三郎。 合田は、入口のそばで待っていたお供の森に 《尾けるぞ》 と目で合図した。森は無表情に目で 《了解》 と応えた。
これぞ、殿様とそれにお仕えする小姓 『森蘭丸』 の図式ですね  お蘭ちゃん、「一生涯、殿にお仕え致します」 なんて合田さんに言ってほしいっ!きゃーーー!! そして、この目で合図して目で応えるっての、合田シリーズではよく出てくる表現のような気がするんですが、これも、あたし的には萌え~です。 無表情に目で 《了解》 と応えるって!!きゃーーー!!! (病気・・・・m(__)m)  

上田哲司の勤務先であった建設会社で聞き込みをした後、「3月14日は日曜日か・・・・」 歩き出してすぐ、森は自分の手帳を繰って呟いた。 「最初に気付いてたんですか?」 「ああ」。 大倉一夫が交通事故とおぼしき鞭打ち症で入院した3月14日が日曜日だというのは、たまたま4か月前のその日の朝に、団地の階段掃除用のホウキが紛失して、なぜか自分が犯人にされた上に、罰金1,000円を巻き上げられたので覚えていただけだった。
超、うけるんですけど、この場面!! 合田さん、ホウキ紛失の犯人にされて罰金1,000円巻き上げられたって! かわい~んですけど  なんで犯人なんかにされちゃったんですかねぇ?ぼーっとしてたのかしらん。 やっぱ、私生活はまるでダメな、天然ちゃんなのかしらん。 母性本能くすぐられるわぁ

吾妻がひょいとやって来て、「おい、又三郎はどこへ行った」 と囁く。 合田は最初から気が付いていた。ただひとり、又三郎が帰ってきていないのだ。 「又三郎はどこだ」 「朝、抜け駆けした」 「どこへ」 「うるさいな。ちょっと待ってくれ。組んでた奴に聞いてみるから」
夕方、建設会社の上田の同僚だという、《守山博史》 という男が、上田に頼まれて車を1台、海に沈めたと自首してきたとの事で、本部から呼び戻された七係の面々。 又三郎だけが戻ってこない。 合田さんが、又三郎と組んでいた練馬署の巡査部長に、又三郎の行方を聞くと、巡査部長は 「すみません。聞いてないんです。有沢さんは 《大倉一夫の情報を持っている奴がいるんだ。ちょっと会ってくる。あとでネタを分けよう》 と言って・・・」 と応えた。・・・又三郎、どこ行っちゃったんでしょう? さぁ、ここから又三郎の暴走が始まりまっせ。

当直を残して捜査員たちはぞろぞろ席を立った。 「又三郎はどうした」 と林が声をかけてきた。 「連絡はあったのか」 「いえ」 「こんなことは初めてだぞ」 そんなことは分かっていた。 「もう少し待ってみます」 とだけ合田は応えた。 「近くでメシでも食ってくる。何かあったらベル鳴らせ」 林は言い、吾妻と雪之丞と肥後と森と十姉妹を引き連れて出て行った。 結局、七係全員、又三郎が戻るまで帰れないのだった。仲間に何か間違いがあったら、全員の身に禍が降りかかってくるのだから、さすがの林の目つきが変わっていた。
そうか、係の仲間の失態は連帯責任で、全員の失態になるんか。知らんかった。 しかし、(合田さん以外の)七係みんなで仲良くお食事か。こういう場合は、お蘭ちゃんも一応、皆と行動を共にするのね。人付き合いメッチャ悪そうだから、行かないのかと思ったけど・・・まぁ一応あんなんでも社会人だし、それなりの人付き合いはとりあえず、するのね。 もう正直、今回お蘭ちゃんの出番が少ないもんだから、抜粋する所に苦しんでます だって、独断と偏見に満ちた森くんファンサイトだも~ん・・・・又三郎ファンの皆様、ゴメンナサイm(__)m

(ひとり署に残った合田)電話が鳴るたびに緊張し、落胆し、午後9時前になって、当直が受話器片手に 「主任、有沢さんです」 と叫んだ。 飛び上がって受話器を貰った。 《女を吐かせたぞ》 公衆電話の声だった。 「どこからかけとるんや、このどアホ!」 ・・・・(会話は続くが長くなるので省略・・・手抜き・・m(__)m)
関東青竜会、幹部の秦野の女に吐かせたという又三郎からの電話。秦野の女に手を出した又三郎の身が危ない!!と危惧する合田っち。 この合田さんの 『どアホ!』 って好きです。すごく相手に対する愛情を感じる。 『アホ』 って言葉、大阪人にとっては愛情表現って、聞いたことがあるような気がするんですけど?

林以下、七係の仲間たちがぞろぞろ戻ってきた。合田は6人をかき集め、声を殺し、又三郎が取ってきたネタをざっと話した。 みなの顔色が変わった。青竜会の幹部に会いに行ったに違いない又三郎を引き止める手はもはやなかった。 「吾妻さんと肥後さんと十姉妹は守山宅へ。残りは俺と同行だ。係長はここにいて下さい。時間がないぞ。急げ」
七係の面々、みな顔色が変わったって言うけど、又やんと犬猿の仲に違いない森くんも顔色変わったのかなぁ? さ~ぁ、ここから七係の暴走が始まりまっす!!

大丈夫かな。しかし、今さら引き返せないしな。傘の下で頭を垂れ、忸怩としながら所在無く道端に立ち続けた。やがて、ベンツの傍の男たちがちょっと動いた。ビルの中から幹部が出てくる気配だった。ためらいが来る前に、又三郎は間髪入れずに歩き出した。そうだ、俺は怒っているのだと自分に呟く。
ここの場面、一部しか抜粋してませんが又三郎目線の語りです。もっとあるんですが、全部書くとスッゲー長くなってしまうので一部分だけ抜粋しました。 でも、珍しくないですか? 合田さん以外の七係のメンバーが、合田さん目線ではなく、本人目線で書かれてるのって。初めてじゃないかな? あたしはすごく新鮮に感じたんですが。 今回はホント、又三郎にめっちゃスポット当たってます。 お蘭ちゃんファンのあたしはちょっと羨まし~。だって、この七係シリーズ、森くん単独での主役の回、ないんすよ~

「もう証拠は挙がってる。目撃者もいる。死体が出てくるのは時間の問題だ」 「何が言いたいんだ」 「地獄に落ちろって。自分のやったことを悪いと思ってないんだろう?俺はそういう奴は犬以下だと思ってるからな」 「ヘッヘッ、あんたはどれほど偉いんだ」 「少なくとも俺は恥じる心がある。人殺しと兄弟の杯交わしたと思うと眠れん。同郷の恥だ。俺もあんたも」 「同郷の恥?神奈川県川崎市の恥か。多摩川緑地でよ、お前と俺で女をナンパしたの忘れたか。浮島の方の空を見たら、煙突の火が赤と緑に燃えててよ。その時お前が言ったの。人生虚しい、って。さんざん出した後によ。覚えてるか」 「今はもっと虚しい。人殺しと3Pやったのかと思うと」 「だから?」 「心中しようぜ。兄弟だろ?」
この、又三郎と秦野の会話、美味しい情報満載でっす まず、又三郎の出身地が神奈川県川崎市だってこと! (あれっ、このシリーズ以外の他の本にも書いてあったっけ?あたしはこの七係シリーズで初めて知ったんですが・・・?) へぇ~又三郎って川崎生まれだったんだ~、ふぅ~ん、って思ったのさ。 あと、これはスゴイ、衝撃だったんですけど 3P~~~!! 3P~~~ってっっ!!!た、たかむらせんせーーーっ!! 又やん・・・・・ 

又三郎は座席から腰を浮かすやいなや秦野にのしかかった。秦野はまたわめき、ハンドルにしがみつき、ハザードランプを付けて急ブレーキを踏んだ。ハンドルを奪い合う。後ろからついてくる仲間のベンツが激しくクラクションを鳴らしている。秦野の両手、又三郎の片手、3つの手で摑んだハンドルが右へ左へじりじり揺れた。秦野が何か叫び、又三郎も叫んだ。 母さん、ごめん! 橙色の灯火の列の下で黒い側壁がねじれ、路面が傾くのを目のはしで見ながら、又三郎は満身の力をこめた。
この場面、この回の話しの1番の見せ場と言っていいのではないでしょーかっ!! 《母さん、ごめん!》 っすよ!!、 《母さん、ごめん!》~~~~!!! ・・・又やんが、又やんが、こんな暴言吐くなんて・・・・マザコンか? なんか、あたしの又やんに持ってるイメージが、大きく覆されたんですけど。 《母さん、ごめん!》 なんて、あたしの又やんは、言わない・・ハズなのに・・・

ところが、ちょうど、四号新宿線の幡ヶ谷ランプ手前の直線コースだったのがまずかった。側壁にかすることもなく、あっという間に車のスピードは落ちていき、それを追い越して後ろのベンツが前に出てきた。2台の車は前後して止まった。又三郎はもう何も見えず、まだ、秦野と掴み合っていた。前に出たベンツから男が3人走り出してくる。又三郎はたちまち3人の手で外へ引きずり出された。
又やん、大ピンチっす!! 半殺しにされちゃうーーーー!!!

中野江古田病院の夜間受付から、職員がおびえた顔を出すなり、「あの・・・・」 と言いかけた口をつぐんだ。それをサングラスの目で睨みつけて 「今日、うちの親分がお宅でもらったクスリを飲んで気分が悪くなったんだけどよ」 と雪之丞は低い声ですごんでみせた。相手は眉根をよせて唾を呑む。雪之丞はカウンターを叩いて、声を張り上げた。 「お宅のクスリで気分が悪くなったって言ってんだよ、えっ!」 夜勤の看護婦たちが何事かと顔を覗かせ、守衛がかけつけ、受付の職員がおろおろしているその間に、ストッキングで覆面をした合田と森は厨房の裏口からさっさと中に侵入し、ズックの足で階段を駆け上がり、入院病棟の3階の個室に入った。
七係の中では、強面の変装といったらサングラスなんですかねぇ。前回の 《放火》 の時も森くんがサングラスで、イカツイ兄ちゃんを演じてましたが・・・。 雪之丞の普段のキャラからいって迫力あるのか、疑問です。まぁ、本庁捜査一課のバリバリの現役ですから一般人から見たら、それなりの迫力はあるのかもしれませんが。 しっかし、合田さんと森くん、ストッキングで覆面って!!そこまでする必要あるんか?!暴走しすぎちゃうの? 合田さんと森くんのストッキング覆面姿・・・・・見たい様な、見たくない様な・・・う~ん・・・。 そういえば、某高村ファンサイトのアンケートで、じっさいストッキングを頭にかぶってみたというファンの方がいて、めっちゃウケたのを思い出しました。その方は、どうかぶればどの程度顔が隠れるのか、自分で検証してみたそうです。・・・・そこまでするその心意気、高村ファンの鏡っす。尊敬致します。 

森が寝ている山岸隆雄の鼻と口を片手で一気に覆った。男が目を開ける。ストッキングで覆われたのっぺらぼう二つを見た男の目がひきつった。森はゆっくり手を放す。 ~(長いので途中略)~  相手は全身を痙攣させ、眼球を動かし、突然ベッドから起き上がるやいなや何かを叫びかけた。その口をすばやく森がふさぎ直し、黙らせた。「家族に別れの手紙でも書いとけ」 合田と森は、2分で部屋を出、再び階段を駆け降りた。
※補足(山岸は上田の務めていた建設会社の専務。今回の事件の容疑者のひとり)
合田&森、暴走しとりますっっ!!!  

肥後が守山博史の自宅に電話を入れ、青竜会を名乗り、脅しをかけて守山を誘き出す。午後10時50分、アパートの扉が開き、ボストンバッグ片手の守山博史が姿を現した。廊下で待っていた吾妻と十姉妹がすばやく手帳を突き出して行く手をふさいだ。 「あなたは書類送検されているのですよ。逃亡は困ります」 白を切るかと思った守山は、予想外に逆上し、逃げ出した。その場で若い十姉妹がダッシュし、タックルしてねじ伏せ、乱暴に頭をコンクリートに押しつけた。男がもがき、呻く。その頭上に 「ふざけやがって」 と唾を浴びせた後、かろうじて働いた自制心で、吾妻は素早く男を引きずり起した。物音を聞きつけた家族や住人達がドアから顔を覗かせていた。悲鳴を上げる者もいた。
肥後のオッサン、吾妻ペコ、十姉妹チーム!! こちらも暴走しとりますっっっ!!!

全員が逆上していた。普段ならばやらないことをした。それなりの自制、あるいは保身のための防御は働いていたにしても、朝にはせせら笑っていた事柄について、夜はこんなふうになる自分たちの短絡にほとんど気付くこともなく、普段はてんでんばらばらの仲間が一枚岩になる不気味さに気付かず、皆がほとんど無意識に走ったのだった。
又三郎の身の安全を心配した七係の面々の行動なわけですが、しっかし、みんな逆上しすぎやろ。合田さんと森くんのストッキング覆面なんて、こいつらギャグでやってるんかと、もう笑いさえ誘います。 だけど、七係が一枚岩になるなんてねぇ。その中に森くんが入っているっちゅうのも意外。普段、あんなにみんなの輪の中に入らない奴なのにねぇ。

逃亡の現行犯で逮捕した守山博史を、合田と森が取り調べる。頑として死体の隠し場所を供述しない守山に、合田と森はほとんどさじを投げ、言葉を失わざるを得なかった。(合田さんの勘が働き、ある場所へ行ってみようとカマをかける)。 すると今まで白を切っていた守山が突然、両腕で頭を抱えて 「いやだ、いやだ、俺はいやだ!」 と叫び始めた。 調書の用紙を広げている森が、いざとばかりに背筋を正した。合田は 《落ちるぞ・・・・》 と目で言い、森は 《落ちますよ》 とうなずき返した。
この目だけでの会話、あたし的には、凄い萌え~なんですけどーーっ! 合田さんの目で 《落ちるぞ・・・・》 に、《落ちますよ》 とうなずき返す森・・・・きゃーーーっ!! ・・・・病気・・・

そうして一気に守山の喉輪をしめにかかったころ、外でも急な展開があった。午前4時半過ぎ、豊洲駅前派出所から本部に警電が入った。昭和大学附属病院前で、有沢三郎巡査部長を保護し、病院へ運んだという。病院の診断では、肋骨が一本折れ、肘を骨折し、殴る蹴るの暴行を受けたと見られるとの事だったが、本人は 「覚えてない」 としか言わなかったらしい。
又やんの入院している病院に向かう合田さん、道中、『 《覚えてない》 と言い張る又三郎の意地とやせ我慢も分かり、その心根のどこかに、この自分に対する不信もあるはずだ』 と考える。 ん~、又やん、大人の男って感じで、かっこええ~。やっぱ色男やな~。 そんな又やんに、合田さんは、何か胸のうちにもやもやしたものを感じ、あれこれ考えても結局何なのか分からず、最後には 《嫉妬かな》 などと思う。 そうだね、又三郎が 《動》 だとすると合田さんは 《静》 って感じだもんね。合田さんには持っていないモノを持っている又三郎に、合田さんは嫉妬してるのかな。 又三郎と森が真逆って言ったけど、合田さんと又三郎も、そうなのかもしれない。

最初に何を言おうか。言葉を考えた。病室の又三郎は、腕にギプスをはめた格好でベッドに坐り、憂鬱げなふくれっ面で降り続く雨を眺めていた。「秦野が自首してきたぞ」 と合田は言った。又三郎は 「へえ」 と鼻先で応えただけで振り向きもしなかった。 しばらくして、ぽつりと吐き捨てた。さまざまな思いを押しつぶして、低く噴き出すような声だった。 「俺はな・・・自分が情けねぇのよ」 そうは言うが、又三郎なら、数日たてばきっとケロリと開き直っている。何もなかったような面で、肩で風を切って現場に飛んでくるだろう。 ふと、そんなことを考えた自分が気恥ずかしく、合田は早々に退散した。 間もなく梅雨が明けたら夏。又三郎の退院祝いは、そこらじゅうの姐さん連中を集めてパアッとやってやろう。
さすが、風の 《又三郎》 のあだ名を持つだけあって、明日になったら立ち直って、肩で風切って現場に颯爽と現れるのね。 ん~~、やっぱ、又三郎って男前だな~。 森くんにも、もうちょっと又三郎みたいな強さと、しなやかさがあれば、八丈島に島流しになんかなんなかったかもなぁ。 これは合田さんにも言えることかもしれません。まっ、合田さんは島流しにはなってませんが・・・。 しかし、又三郎はやっぱり、かっこええ~



                                 警視庁捜査一課第三強行犯捜査第七係 第3話 《失踪》 読書感想記 ・・・・・・・ 【完】

              
                

七係シリーズ 第3話 《失踪》 読書感想記、これにて終わりです。
今回は又三郎が大活躍(大暴走?)で、お蘭ちゃんの出番が非常に少なく、森くんファンのあたしは途中行き詰り、もう投げ出そうかと思ったけど、なんとかココまでたどり着きました。
いえ、行き詰まったのは、けっして又三郎が嫌いとかではなく、あたしがお蘭ちゃんスキーという病気だからですぴよ~
やっぱ、自己満足の為に書いてる、超独断と偏見に満ちた森くんファンサイトだという事を、改めて自覚いたしました。
これからも森くんへの偏った愛を語る、自己満サイトになると思いますが、それでもよろしかったらお付き合い下さいませ。

それにしても又三郎が、めっちゃカッコエエいうのは、今回 《失踪》 を読み直して改めて思いました
                                                              





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