マークスの山 読書感想記・3




~10月8日木曜日~
とはいえ、合田はお供の森を連れて渋谷へ出た後、割り当ての西新井へは急がず、しばらく東横線乗り場前の広場にいた。秋の長雨で持ち歩いている傘が、その日は不要になり、濡れたまま荷物になって片手をふさいでいた。森は、外へ出て仲間の目がなくなると、ときどき首筋などをぽりぽり掻いている。薄日の下、青白い寝不足の面を下げた男二人で黙ってタバコを吸った後、合田はやっと行き先を決めた。
合田さん、この時持っていた傘はどんな傘だったんだろう?『馬』では確か25,000円という金額で買ったというとんでもない傘を持っていて、連れの吉岡くんに呆れられていたっけ。(※注 かなりうろ覚えの為、25,000円という金額は定かではありません)。マークスの頃の合田さんは傘にそんな大金かけるイメージじゃなかったから、あたしの中ではこの時持ってる傘は、ビニール傘のイメージがあるんだけど・・・。 あと《男二人でタバコを吸った後》ってあるけど、七係シリーズや、この後に出る『マークス』の文庫本では、森くんタバコ吸わない感じなんだけど、「あれっ?」って、ココの部分、矛盾を感じます。「森くん、タバコ吸うんか吸わんのか??どっちやねん」って、ちょっと混乱します。 しかし森くん、他の仲間の前では痒いそぶり見せない様にしてるのに、合田さんの前だと何気に開けっ広げ。合田さんには気を許しているのかなぁ? なんやかんや言っても信頼してるのね、合田さんの事。うふっ

森にそういう話をすると、めったに私語を吐かない森が一言いった。「主任の勘が当たってたら、ウナギ奢ります」。そうしてその日の残りは、地検で過去五回の畠山宏の公判記録を閲覧することで潰れた。その日は、ウナギにはありつけなかった。
《めったに私語を吐かない森》。そんなサイボーグ森が好き!もちろん仕事中の事だろうけど私生活ではどうなんでしょう? みんなと飲みに行った時とか何話すんでしょうか? 七係の飲み会を尾行してコッソリ傍で様子を観察したい。 そして、なぜウナギ限定?? 寿司とか焼肉とかもっといろいろ有るだろうに。なぜ、ウナギと言い切るのだ、お蘭。 普段は食べることに興味の無さそうな合田さんも、なにげに楽しみにしてるっポイところがカワイイ

加納には、春に会ったときに部屋の合鍵を渡した。誰も知らない避難場所がほしいと贅沢なことをのたまい、合鍵をくれなどと言うのは加納ならではだ。しかし、合田が留守だと分かっているときにしか来ない気づかいも忘れない。双子の妹貴代子と瓜二つの男の顔を、合田があまり見たくないと思っていることを知っているのだ。
加納さん、『誰も知らない避難場所がほしいから合鍵をくれ』とか言ってるけど合鍵が欲しい本当の理由はそうじゃないでしょ~。でも、本当の理由なんて言えないよね。完璧人間と思われる加納さんの弱点がココなんだなぁ。しかも想い人は自分の双子の妹の元旦那。かなり複雑な関係・・・・。 あっ、それから早くも、加納兄妹瓜二つという事が判明!!やっぱ似てるんだ~、瓜二つなんだ~。こりゃ合田さん、確かに複雑だわぁな。

手帳をしまって、合田はふと、自分の座っている食卓がぴかぴか光っているのに気付いた。小まめな加納が磨いていったらしい。貴代子は『掃除は兄さんに任せるわ』と笑っているような自由奔放な女だったが、兄の加納は六法全書片手に、掃除機をかける男だった。若かったころ、兄妹のどちらも、凡庸な自分には眩しい才気と美貌の持ち主だった。
家事も完璧にこなし、才気と美貌の持ち主で、性格も良くって、家柄も良くって、仕事も出来て、エリートで ~etc。全てのものを持っている加納さん。あぁ~羨ましかぁ(溜息)。でも本当に一番欲しいものは手に入らない・・・ってか? もちろん一番欲しいものとは、言うまでもない。

~10月9日金曜日~
「お前、それでどうした」「その場はそれだけです。奴ら、私の素性は見抜いてましたし」十姉妹は、端から期待をしていなかったといった白けた表情だった。「当たり前だ」と、いつの間にか顔を上げた森がぶつぶつ言った。「そんな手が通用したら、そこらじゅうのブン屋が出かけてる」「なんだ、このやろうは」たちまち又三郎が森に詰め寄り、それを雪之丞が押さえて「やめんか」と囁いた。
捜査の為、被害者の葬儀に紛れ込もうとして失敗した肥後、又三郎、雪之丞、十姉妹の4人。そして、そのやり方にイチャモンをつける森。さすがに年下相手には敬語は使わないのね。当たり前っちゃあ、当たり前だが。敬語を使わず喋る森っていうのも珍しくて新鮮。そして又三郎。又三郎ってなんかいつも森に絡んでるよね。会議では絶対森にちゃちゃ入れるし。でも、なぜかそんなに悪意は感じないんだよな~。森くんの事、好きなのか? 好きな子苛める小学生みたい。

四課と一緒にカン捜査に出ている碑文谷の刑事がそう言ったとき、突然、机を拳で叩く奴がいた。森だ。よっぽどアレルギーの具合が悪いらしい。「あんたは、人をバカにする気か。誰と誰と誰に会って、どう成果がなかったのか報告して下さい」と森は言った。 森にいちゃもんをつけられた刑事が、当惑げな顔で手にした書類を繰り始めた。「時間の無駄だ」という声が聞こえた。即座に「無駄とはなんだ!」と森がまた机を叩く。「おい、その拳は余計だ」と肥後。その傍らから「今、時間の無駄だと言った奴。アリナミンでも飲んで反省しろ」と又三郎が余計な口を出した。
だから~、そういうことばっかやってるとそのうちボコボコにされるわよ、お蘭。いつもこの調子じゃあ、絶対陰で1~2回は妬き入れられてるわよね。そのうち合田さんみたいに刺されるぞっ。 あっ、又三郎!またなにげに森くんのことかばってあげてる。さては森くんのことだな?だなだな。

普段から、七係の出る捜査本部は多かれ少なかれ、短い会議の半分は罵声の応酬で脱線し、四分の一は森のちゃちゃで紛糾し、四分の一は吾妻の独善的一人芝居というのがパターンになる。
普段から会議の四分の一が森のちゃちゃで紛糾って・・・(汗)。毎回どんだけ会議でイチャモンつけてんねんっ。こりゃ絶対、刺されるわ。合田さん、刺される前にお蘭をちゃんと教育してあげて下さい。だって合田さんのお蘭でしょ?

森義孝という男は、捜査本部に出ている間も、夜の会議終了後、帰宅前に必ず本庁の自分の机に戻ってくる。張り込みなどで手がふさがってない限り、机に戻ってその日の刑事日報や刑事部長電の一覧表に目を通し、個人のメモを書き、資料を調べたりするためだ。自分のアパートでは落ちつかないのか、独身でヒマなのか、仕事以外に能がないのか、捜査が長期に渡るとほかの机は埃だらけになるのに、森の机だけは特別だった。
きっと恋人も友達もいなくて、家に帰ってもやる事が無くて、仕事以外に能がない寂しい奴なんですよ。・・・・・って、酷い言い様じゃぁないすっか!合田さん。仕事熱心な男なんですよっ。一途な男なんですっ。 しかし、こんなんじゃストレス溜まるんだろうな~。アトピーにもなるわなぁ。

集団という意味では、ひとり逸脱している森は七係の荷物だが、地道な努力という意味では刑事の鑑だった。意地をむき出しにしたその態度は鼻持ちならないが、それをうとむ理由は誰にもなかった。自分が軟弱な者は硬さを嫌うものだ。ある時点で、職場での人間関係の機微にはいっさい目をつむることに決めた合田は、あえてその程度にしか考えなかった。気にしだすとキリがない。
・・・う~ん、七係のお荷物なのねぇ。お蘭ちゃん。もうちょっと要領良くやればいいのにねぇ。でも七係の面々は、そんなに言う程、森くんの事嫌ってない様な気がするんですけど。合田さんはもちろん、吾妻ペコだって又三郎だって、口ではボロクソ言っても心底嫌ってはいない。(と思う)。

森はほかに、聞き込みをやった参考人の指紋の照合もやっている。 (~途中略~) 前科のない無名の指紋は、普通は、容疑者が逮捕されたり、ほかの事件が発生したときに照合するしか利用価値がないが、森はそれでも丹念に聞き込みをした人間の指紋を集めている。もらった名刺の指紋。供述調書に署名してもらったときにつく指紋。灰皿からくすねてきたタバコの吸殻の指紋。クズかごからあさってきた紙切れなどの指紋。それらを一つ一つ鑑識へ回し、結果の出るのを待ち、リストの名前を一つ一つ消していくだけの作業だ。森以外の人間に、こういう細かい注意力の要る作業は出来ない。
指紋の照合は、99%無駄に終わるであろう作業。これで犯人逮捕に結び付く可能性はかなり低いが、この万一の可能性にかける森は、かっこいいのか、ただの偏屈男か? 同じく偏屈女のあたしは、森くんのこういう所が実は大好き。合田さんだって、そうに違いない(・・・そうか?)

そろそろがらんとし始めた大部屋に、宿直室へ移された同報のスピーカーの声だけが響いていた。「おいおい、雪が降るぞ」と部屋を覗いたどこかの記者が、合田の姿を見て声をかけていった。「降るなら降れ」と、三係の机からカップラーメン片手の誰かが代わりに応えた。合田は欠伸で応え、森は机から顔を上げもしなかった。午後十時半、合田は自分の机の上の書類を一抱え、森の机に移した。「一応チェックした。明日でいいから君も見てくれ。俺はもう帰る」「はい」 森は鼻先で短く答えただけで、新たな書類の山を端へ押しやり、さっさっと自分の書類に戻ってしまった。
何が有っても仲間の輪の中に入らない森。上司への返事さえも鼻先で応える森。ここまで読んでみると、森くんの偏屈ぶりが嫌という程よく分かりますねぇ。この頃はあたしも、森くんが良い奴なんだか嫌な奴なんだか、いまいちよく分かんなかったな。むしろ嫌な奴なのかな、と思ってた。話の中盤辺りから、もしかしてけっこう良い奴?と思い始めて、後半でいつの間にやら

二百人ほど入れる館内に、黒い頭がほんの五つか六つ散らばっていた。それらをざっと見渡した後、一番端の後ろの方に一つ、深く垂れた頭を見つけるやいなや合田はなぜか慌てた。急いで後ろの席に着くと、腰を下ろすのもそこそこに、前の座席の肩を揺すって「おい」と声を殺した。「こんなところで寝るな」「ああ、来たか・・・・」と呟いて、加納祐介は欠伸をした。「まず、財布を確かめろ」「財布は・・・・」加納はダスターコートの胸を探り、「無事だ」と悠長にうなずいた。
ここ、加納さんの人柄が窺い知れますね。心に余裕のある大人な男の感じ? いやいや、ダメじゃん。大人ならちゃんと気をつけなくちゃ。モノに執着しない加納さんらしいっちゃあ、らしいんですが。しかし、やっぱり常人離れしてるよ、この人。

合田は、どこまでも静かで柔らかい加納の声に耳を傾けながら、昔からそうであったように、そのまますべて受け入れ、ゆっくり反芻し、肯定も否定も自然に湧き出るままに任せた。湧き出てくるものの中には、肯定や否定のほかに、過ぎ去った日々の光や翳りの渾然とした旋律も含まれていた。日ごろの自分の回りにはない、何かの風が吹いてくるのを感じる。学生時代、加納兄妹と過ごした賑やかな日々、自分の胸を満たした茫洋とした蜃気楼が、未だに身体のどこかに残っている。それが切なかった。
まぁ、普段は七係の面々に囲まれてるからなぁ。あんな癖のある連中と過ごしてたら、そりゃ~ねぇ、疲れるわ。 だ・か・ら~、雄一郎、あんたは加納さんと一緒にいる時が一番癒されるのよ。早く気が付きなさいよ。

「そうだ、正月に穂高へ行かないか」加納はふいとトーンの上がった明るい声を出した。 (~途中略~) 五年前まで、加納とは年に四、五回は二人で山を歩いていた。合田が加納貴代子と別れてから、互いに顔を合わせるのを避けるように単独行ばかりになった。どちらかが言い出さなければ、二度と一緒に歩くこともないと思ってきたが、ごく自然に、閉ざしていた扉を開けるのは難しい業だ。それを先にやったのは、やはり加納だった。
う~ん、やっぱり加納さんって大人の男って感じ。あんまり自分の感情を爆発させるってコト無さそうだし、不機嫌な顔してるイメージがない。会議でしょっちゅう突っ込み入れてる偏屈な誰かさんとは大違いだな。

帰り道、合田はどこかのショーウィンドーに映った自分の顔を見た。変わりばえしない自分の顔だったが、個人生活の範疇にいる一人の男と会っていた短いひとときの間は、何かの覆いが一枚剥がれていたような面はゆい感じだった。明日職場に出たときには、その覆いをまた被っているのだろうが。
多かれ少なかれ、みんなそうやって仮面を被って生きているんだろう。きっと七係の面々も、森も。森くんなんて年中無表情だし、めちゃめちゃ覆いを被ってるんだろうなぁ。 合田さんは加納さんといる時が唯一、素の自分に戻れるのかも。


                    ~ マークスの山・読書感想記  次ページへ続く ~



             



『マークスの山』の重要登場人物であるマークスこと水沢を、ここまで全く無視して取り上げてないんですが
「これで良いんだろうか?」
しかし、これで水沢の部分まで抜粋すると、もう頭がゴチャゴチャになりそうなので無視。
「こんなんで、いいんかー!! 自分??・・・(汗)」





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                        2013.3.25 UP



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